そういうトコも好きなんだけど・1







アッテンボローが言う。

「たまには外で・・・・・・過ごさないか。いつも部屋ばかりじゃなんだか不健康だ。」

ポプランの素肌の腕の中。

小癪(こしゃく)な二歳年上の恋人は絶対「デートしたい」とは言わない。



もちろん、 そういうトコも好きなんだけど。



ラブラブデートですね。

と恋人の翡翠色した前髪を掬って額にキスをした。

「デートというか・・・・・・まあ、なんだ。いちいち固有名詞にするな。恥ずかしい。」

とは言いつつもおとなしくベッドでポプランに抱かれているのだからこの二人、少しは進展したご様子。



そですねえ。



「初めてのデートはどこがいいですか。あなたの行きたいところに行きましょ。」

といっては唇にキス一つ。



「野郎同士で行ってもおかしくないところがいい。」

アッテンボローがキスの感触にぼおっとしながらも、呟いた。



「ラブホですね。」

ばちん。

ポプランさんは凶暴な恋人をこの上なく愛している。

たとえすぐに張り手が飛んでこようとも二人の愛は変わらない。頬をはたかれたくらいではポプランさんは

くじけない。



「ラブホは訂正します。やっぱあなたを誘うならイゼルローン一番の高級ホテルのスィートルームじゃなく

ちゃ失礼ですよね。」

ばちん。



「ベッドのあるところから思考を切り替えろ。馬鹿。」



そうですよねえとやや痛む頬を撫でながらアッテンボローの希望を取り入れてポプランは言った。

「迂闊でした。さすがあなたは発想の転換ができる。野外でえっちですね。いつもベッドじゃマンネ

リズムに陥る・・・・・・」



ばちん。



・・・・・・恋のさや当ても甘い痛みが伴うものだと女性殺し(レディ・キラー)は思う。



「まじめに考えろ。あるだろう。デート・・・・・・・というか遊びに行くスポットくらい。映画見るとか買い物する

とか健全な娯楽が。お前の脳みそはピンク色か。」



アッテンボローはだだをこねる。・・・・・・とポプランなどはお目でたくもそんな恋人をかわいいなあとにま

にまして見つめている。

この男の人生そのものがピンク色なのだ。



「じゃ映画見て買い物しますか?清教徒(ピューリタン)っぽく禁欲的に。」

などとポプランが言えばアッテンボローはさして興味を示さない。



「それは例えだ。もっとおもしろいところないのか。」

ポプランに素肌のまま抱かれながら頬を上気させてアッテンボローは言う。

ふと思い立って一言付け加えた。

「いっておくが合法的な娯楽のことをさしているんだぞ。おれは。」

アッテンボローの翡翠の石に似た不思議な色の眸を見つめてポプランは考えた。



「遊園地とか動物園とか植物園とか水族館とかですか。」

いささか子供じみた場所だなあと思わないでもないがアッテンボローは「遊園地がいい。」と即答した。


















・・・・・・今時、ユリアン坊やでも行きたいとはいわないと思うぞ。遊園地。



もちろん、 そういうトコも好きなんだけど。



「すんげー怖いと噂のマシーンがでたって。お前、おれがそういうの好きだって知らなかっただろう。

これからも・・・・・・その、なんだ・・・・・・恋人・・・・・・でいたいなら覚えておけよ。その桃色のおつむに。」

「恋人」という言葉をためらいがちに使うアッテンボローにポプランは小さく笑った。



もちろん、 そういうトコも好きなんだけど。



「・・・・・・じゃあもしかして空戦のシュミレーターマシンとかお好きですか。あなた。手ほどきいつでも

しちゃいますよ。」

「そりゃ好きだけどな。でも提督になってまで空戦隊のシュミレーションマシンを使ってはなんだか

冒涜じゃないか。おれは命令一つで艦載機乗りを死地に送る立場にいるし。・・・・・・なら罪の意識を

感じなくてすむゲームや絶叫マシーンがいい。」

そんなことを言いながらポプランの綺麗な上腕の筋肉に指を滑らせてなにやら感心している青年提督。



罪の意識なあ。

「罪の意識って言ってもそれってお互いの仕事の領分でしょ。仕方ないじゃないすか。」

眸と同じ色をしている髪にそっと指を入れて撫でた。



なぜこんなにいとおしいと思ってしまうのだろう。

どうして愛情が沸々とわいてくるのだろう。どんな女性にもそんな感情はなかったのに・・・・・・もちろん野郎

に至っては微塵もないのにこのひとだけはトクベツ。



「おれは意識するんだよ。お前さん、おれが鋼の精神でも持っているとでも思っているのか。これでけっこう

考えるんだ。」

考え過ぎとか言うなよとポプランの鼻をつまんで笑ってみせるアッテンボロー。












もちろん、 そういうトコも好きなんだけど。

というかどれもストライクでポプランのハートを打ち抜く。

クリティカル・ヒット。



わかりましたと唇に接吻けて。

「お外デートにしては大人げないですが遊園地で絶叫マシーンに乗りましょう。もっともおれは毎日が絶叫

マシーンですし・・・・・・せいぜいあなたのかわいい絶叫を隣でにたにたと鑑賞させていただきましょう。うん。

悪くはないな。ちょっと萌える。」



萌えるな。馬鹿とアッテンボローはうでの中。

「おれだって別に叫んだりしないぞ。無重力くらいなれてるし。ちょっとしたスリルが好きなだけで女みたいに

叫ぶかよ。」

ポプランの前では最近アッテンボローは感情表現が豊かで大人げなくむっとした顔を見せる。



たまらなくかわいいとポプランは思う。

「男だって絶叫マシーンで叫ぶとは思いますけど。」

「おれは叫ばないんだ。」

じゃあ。

賭けましょ。



「絶叫マシーンに乗って何か叫んだりしたら・・・・・・。」

その夜はおれの言いなりってことで。

そんな提案にアッテンボローはさらにむっとした。

「言いなりってなんだよ。それにお前は何を賭けるんだ。おればかり賭けるのはずるい。」

おれが勝ったら何してくれると上目遣いでポプランをにらんだ。



もちろん、 そういうトコも好きなんだけど。



「じゃあ、あなたが無言でマシーンに乗ったらその日の払いはおれもちってことでどうですか。」

佐官のポプランは将官のアッテンボローより当然給料(サラリー)が低いわけで。



「それはおもしろくない。やっぱりここはフェアにお前さんが負けたらおれのいいなりになるってことに

しよう。」

アッテンボローは眸を輝かせて言う。









お言葉ですが。

もうすでに、言いなりですとポプランは言いたいけれど黙って「了解です。」と恋人にあわせた。




今度の休日二人でゆうえんち。



そうと決まれば。

「じゃあ大人の時間再開ですよ。」

なんて甘く深いキスを受けてアッテンボローは眸を閉じた。

反論したい気持ちは山ほどあるのだけれど・・・・・・アッテンボローもポプランがすきだからその唇の感触と

あたたかさに胸がうずいた。



うでの中で・・・・・・暗い部屋の中でしなる彼の恋人。

もちろん、 そういうトコも好きなんだけど。



結局のところオリビエ・ポプランはアッテンボローの何もかもが好きで好きでたまらないのだ。






2へ続きます。


 



某森沢さまのリクエスト。

お外でラブラブデートのPAでRあり。Rはこんなものじゃ終わらないのでこれくらいの

テキストの量で3話で終わればいいなと。すみません。短くなくて。森沢さんごめんなさい。