君の吐息は僕の媚薬・3

シャツの袖口のボタンをはずそうとするアッテンボローを抱きかかえて、ポプランはあたたかい温度の
シャワーを出す。バスタブにも湯をはりまだ袖口に手間取っているアッテンボローの手伝いをする。
「本当に気分は悪くないか。ダスティ。」
そういいながらシャワーから湯が降り注ぐ中アッテンボローの唇にキスを落とす。
「うん・・・・・・。でも・・・・・・したい・・・・・・なんでだろ・・・・・・まだしたい・・・・・・・。」
やっとシャツを脱ぐとポプランの首に腕を回して首筋に唇を這わした。
「ああ。大歓迎だぞ・・・・・・。」
アッテンボローは指をポプランの体中に這わせてその感触を愉しんだ。「・・・・・・きれい・・・・・・。」
荒い呼吸の中あえぎながらアッテンボローはポプランの体に見とれながら丹念に触れていく。
「・・・・・・お前のほうがずっと綺麗だ。」
唇を重ねると互いの舌が互いを求めて絡む。飛沫が撥ねる中立ったまま抱き合う。宙(そら)色の眸が
ポプランを見つめる。その妖しさと艶っぽさでポプランはアッテンボローの体を抱き脚を割り込ませ、
恋人を抱える。
「・・・・・・・あ、あ・・・・・・・。」
ポプランはアッテンボローのものを軽くしごくともうすっかり高ぶっていた。アッテンボローの中に指を
一本ずつ入れるがさっきの自分の精液がとろりと指につたってくる。
「・・・・・・・いれるけど、いいか。ダスティ。まだにするか。」
「や、いれて。・・・・・・ちゃんとして・・・・・・。」
アッテンボローは背中をバスルームのタイルにつけ両足をポプランに抱きかかえられている。
明るいバスルームでは何もかもが鮮明に見える。
恋人の大切な体の細かいところまでポプランは見つめて。
「いくぞ・・・・・・。愛してる。ダスティ。・・・・・・・ん・・・・・・・さっきよりましかな・・・・・・。痛むか。」
ポプランの首にしがみつき魚のように体をびくんとはねてアッテンボローは頭(かぶり)を振る。
「いたくな・・・・・・・い。あん・・・・・・オリビエ・・・・・・キスして・・・・・・・。」
アッテンボローの柔らかい唇をむさぼりながら、ポプランはしっかりその体を抱えゆっくり突き上げる。
「はんっ・・・・・・あ、あ・・・・・・。あ、あいして、る。」
ポプランの背中にアッテンボローのつめが食い込む。嬌声がバスルームにこだまする。
それと腰を打ち付ける音。
アッテンボローがしがみついているので耳元でポプランは快楽の吐息を漏らす。その声にアッテンボローは
高ぶっていく自分がわかる。
「すごく、気持ちいい・・・・・・ダスティ。」
「・・・・・・うん。あん、あっ、やっ・・・・・・・。」
体を抱え込まれ耳元でささやかれるだけでもアッテンボローはいってしまった。白い体液があふれ出し
シャワーがそれを流していく。
アッテンボローの中でポプランも幾度か突き上げて、う、と漏らして果てた。
けれども恋人を抱きしめてキスの嵐を降らせている。二人とも呼吸が荒い。
ポプランの首にしがみつきはあはあと呼吸をするアッテンボローに大丈夫かと聞くとうんと
返事が返ってきた。
「・・・・・・やらしいこえ・・・・・・。」
耳まで真っ赤にしてアッテンボローはやっとポプランにいった。「耳元でささやくの、ずるい。」
ポプランはいとしむようにアッテンボローを抱きかかえながら背中を撫でる。
「おれ、やらしい声の持ち主だから。・・・・・・・お前も相当だけどな。ダスティ、愛してる・・・・・・。」
「・・・・・・愛してる。・・・・・・ね、重くないの。このかっこ・・・・・・。」
ふとポプランは笑みをこぼしてアッテンボローをおろした。「立てるか。」「・・・・・・・うん。」
髪を短くしたせいで乱れ髪がアッテンボローの顔の周りにかかっている。
・・・・・・綺麗だなとポプランは思う。ぎゅっと抱きしめてきたのはアッテンボロー。
「ここがまだばくばくいってる。大丈夫か。ハニー。」ポプランがアッテンボローの左胸の心臓部を
触ったら、また恋人は身をよじって体をひくつかせた。
「・・・・・・・ね。おかしくない。わたし・・・・・・・触られただけで、なんで・・・・・・?」泣きそうな声を
アッテンボローは漏らした。「これじゃ、シキジョウキョウニナッチャウ・・・・・・。」
隠そうとするけれどまだアッテンボローには足りないらしい。全然ポプランからはなれない。
「色情狂じゃないって。まだ2回だもんな。おかしくなぞ。ダスティ。」
「だって、まだぜんぜんたりないよ。いつもと・・・・・・・ちがってオリビエが欲しい・・・・・の。もっと。」
アッテンボローは唇を噛み目に涙をにじませている。
「いいんだってば。ハニー。愛してるぜ。」ほらキスしてとポプランが額をアッテンボローの額にくっつける。
腰を抱き、足を絡めて。
「・・・・・・・こんなのいやじゃない?きらいにならない・・・・・・・?」
「ならない。ぜんぜんかわいい。体が冷えるといけないから浴槽に浸かろう。な。ダスティ。」
そういうとアッテンボローを抱えあげてゆっくり湯をはったバスタブにつけた。アッテンボローが好きな
バスバブルを入れて。順番は違うけれど大きな問題じゃないなとポプランは思う。蜂蜜の甘い香りが
浴室に漂う。
「オリビエってほんとうにきれい。うでも・・・・・・むねとか・・・・・おなかも。」
ポプランが浴槽に浸かるとアッテンボローが泡に体を隠していう。
「尻も綺麗だろ。」
甘い香りの中アッテンボローの鼻にキスをした。
「うん。すごくきれい・・・・・・。」白くて細い指でポプランの顔に触れてその唇をねだる。
「・・・・・・・ぜんぶすき。だいすき。はなしたくないくらいすき。もっとくっついていたい・・・・・・。」
いつになく鼻にかかった甘えた声を出すアッテンボローを浴槽の中でポプランは抱きしめる。
「おれはいつでもお前だけの男なんだぜ。・・・・・・ダスティ・アッテンボロー・・・・・・。」
浮力を利用して向かい合っていたアッテンボローを膝に乗せた。
背中にキスを落とす。過敏なほど背中をそらせるアッテンボローの首をさらに舌で攻めてみる。
「ああ、ん。やあっ・・・・・・。」
アッテンボローの平らなむねを指でいたぶってみる。蜂蜜の香り以上に甘い吐息が漏れる。
「今夜は本当に離さないからな。ダスティ・・・・・・。愛してる。」
腕をのばして赤みのある金髪をまさぐりポプランの唇に自分の唇を重ねるアッテンボロー。
「・・・・・・・うん・・・・・・・。」
色情狂でもかまうものか。
ポプランは腕の中であえいで彼を求めるアッテンボローを抱きしめる・・・・・・。
空戦隊第二飛行隊長は僚友が首をかしげながらドッグのすみで珈琲を飲んでいる姿を見つけた。
「朝から悩み事か。むしろ悪巧みでもしてるのか。ポプラン。」
「うーん。世の中不思議なことがあるよなって思ってさ。おれってさ今まで最高9回まではいたしたことは
あるんだよな。」
・・・・・・。
午前中からその手の話しかとコーネフは毎度のことに何も言わない。
「9回っていってもさ、相手が2人だったからな。1人相手にはせいぜい4回がベターかな。」
「下劣な話題に入りたくないが、回数の問題なのか。達人。」
「いや勿論質と量を兼ねそろえたセックスライフの話。量だけ考えりゃいくらでも行くんだけどさ。」
・・・・・・。
いくらでもいくのか。
「・・・・・・大変だな。ポプランさん。じゃあな。訓練でも始めようかな。」
第二飛行隊長はごく一般的な人物であったので不毛な会話についていこうとは思わない。
1人残され第一飛行隊長のポプラン少佐は考える。
不思議だよな。今朝までで一晩で15回も要求されるとな・・・・・・。
急激な恋人の「かわいいおねだり」に負けて撃墜王殿は寝ていない。でも彼は日ごろから鍛えているので
全然支障がない。むしろ・・・・・・。
あいつ、かわいいなと恋人のことを考えて熱いブラック珈琲を飲む。
でもいったいなぜああもあいつは「かわいいおねだり」をしたんだろう。いつもは連続でいどむと
休憩したいというし機嫌が悪いと背中を向けてしまう。
男のほうがどちらかといえば底なしってことはないんだけどな・・・・・・。男の体になったからといって
急にあちらがお盛んになるのも奇妙だし。第一飛行隊長は絶好調である。
なにせ愛情たっぷりの濃厚な夜を過ごしたのだ。
「ま、あいつも体に異常はなかったみたいだから俺も訓練でもするか。・・・・・・勘が狂うけどな。」
足取りも軽くポプラン少佐は上機嫌。かわいい恋人は無事今朝「生態学上の女性」に
戻ったし。機嫌が悪くなろうはずがないのである。
こちらは絶不調なアッテンボロー提督。からだはやはり一日で戻り今朝急に女性の体に戻った。
「閣下、具合がよろしくないのですか。あまり顔色が。」
「いや。大丈夫。平気だよ。ちょっとだけ寝なかっただけさ。体は元通り女になったし。」
寝てない。
しかも男の体のときはなぜだかわからないがとても恋人を欲していた。考えると不自然なほどの欲情に
羞恥するけれど・・・・・・。なんだったんだろうとカップの珈琲を飲む。
夕べはどちらかというと本当はげんなりしていた。
執務室宛に送られてくるメールだの手紙の処理に時間もかかったが、会議は今機急な案件がないので
無事終了した。
だが。
事務監からどっさり書類の整理をせよとのお達しが出てそれに精励していた。
「お前、暇なときに全部これ整理しておけよ。」
「暇じゃないですよ。それほど。」
「つべこべ言わずにしろ。この時期おれだけ忙しいのが悔しい。」事務監殿はたまに後輩に不条理な
ことをいう。
「先輩だけが忙しくしてるわけ・・・・・・・ですね。確かに。」
この時期ヤンは指令部にいても脚をコンソールに乗せて昼寝をしている。みな給料泥棒だと
いっているが当人は気にしない。
「ヤンのやつは優秀な副官がすべて書類の整理方法を合理的にした。お前もそれに習え。」
「はあ。私も司令する側なんですが。」
「あいつにはミス・グリーンヒルがいるがアッテンボローには優秀な事務の達人にあと3歩なやつがいるだろう。」
「ラオですね。」とアッテンボローがいうとキャゼルヌは首を横に振った。
「お前だよ。ミス・グリーンヒルが100点ならお前は70点。なかなか優秀だ。提督もこなして事務もこなすとは
ヤンよりはやく元帥になる勢いだな。愉しみだ。」
「冗談きついっすよ・・・・・・。」
そんな事情もあって夕べ部屋に帰ったのが2200時。食事をしたけど。力が出ないなーと思いもう少し
食べようかと考えたんだな。確か。
あれ・・・・・・。
昨日の自分はいつもの自分ではなかった。勿論ポプランを愛しているのは変わりないのであるけれど
「欲求の要求」がおかしいのだ。・・・・・・あの薬を飲んでおかしいと感じた気がする。
やたら体温が高くなったようで熱くてたまらなくなった。
でもあの薬は医者が疲労回復薬だといっていた代物だし、むしろ飲むなととめたのは恋人だった。
休憩時間に医局に行こうと「生態学上女性に戻った女性提督」は考え、やや痛むこめかみを押さえ
事務監殿と同じく仕事に励むのであった。

つか、ながいわ。
読むほうも苦労しますよね。すみません。
|