栄養補給の手段は…






パイロットは健康管理が大事。とつねづね僚友と部下にいっている自分が風邪をひいた。



「イイコトモワルイコトモしてないお前が風邪をひくのは、たんなるていたらくだな。ま、今日はおれに任せて

さっさと直せ。摂生して風邪なんて・・・・・・。くくく。」



・・・・・・あいつに言われたくない。



が。艦載機乗りは耳をやられるから、ちょっとした鼻風邪でも実はご法度。



第一飛行隊長が任せろというとあんまり愉快じゃないが仕方がないから部屋で休む。

熱はないけど鼻風邪だな。これで加速度つけて飛ぶと耳や鼻をやられて割りとキツイ。

冷蔵庫を見て。さて何かを食わないと薬も飲めない。しかし鼻風邪で薬を飲むのは

あんまりなと思っているとチャイムが鳴った。



ドアを開けたらやっぱりこのひとだ。「・・・・・・ひとに見られますよ。中はいってください。」



男にしては小さい人だとふと内心微笑んでしまう。176センチか。いや背が低すぎるわけでもないけれど

周りに大きな人間が多いだけかとコーネフは椅子をすすめて座らせた。



「風邪だって聞いたからね。大丈夫なのかなと思って。」

黒髪の要塞司令官どのはさほど人の眼は気にしていないご様子である。



「ただの鼻風邪です。」

「でも勤務を休んでいるじゃないか。熱はあるのかな。」

「えっとですね。ポプランからなんかいわれましたか。」ときくと全然という答え。

そこで艦載機パイロットにおける「鼻風邪、鼻炎、中耳炎」などがどういうマイナスになるかを説明した。

「わかった。で。本当に鼻風邪だね。」

「そうですよ。せっかくお見舞いに来てもらいましたが格別劇的な病に倒れたわけでもないです。」

ソファの肘掛に腰を下ろして。



劇的な病なんぞで倒れられては困るな。

「これ。」と司令官閣下は紙袋を差し出した。「鼻風邪にいいのかそれはわからないけれど風邪で物が

食べにくいときにいいかなと。」

オレンジが10個も転がってきた。・・・・・・これをいっぺんに食べると腹を冷やしそうだとコーネフは思う。



「・・・・・・私は料理はからきしだめだしね。きっとビタミンとかはいっているからいいと思って。

嫌いだったかな・・・・・・・。」

「いえ。お心遣いはうれしいですよ。閣下。」とあまり綺麗にといていない黒い髪を、指で梳く。

でも。



「うつったらいけないですし、昼間でひとの目もありますからね。ここに来ることあまり知られたく

ないでしょ。」

そうでもないよと自分より4歳上の恋人は言う。



「どっちでもいいんだけれど騒がれるのが好きじゃないんだ。それだけだよ。

うちの連中はそろいもそろってみな口やかましい。・・・・・・ゆっくり昼寝もできない。」



オレンジってたまに食べたくなるんですよとコーネフは器用な手つきでナイフで皮をそぐ。

一口食べて。

「・・・・・・美味しいです。閣下。」

それはよかったよと閣下と呼ばれる青年は微笑む。はいこっち向いてくださいと割合華奢なあごをこちらに

向かせて、その口にはいと小さく裂いたオレンジの房をくいっと押し込む。

「・・・・・・うん。甘いね。美味しそうだから買ったんだけど、よかったかな。」



そんな稚い(いとけない)閣下に唇を重ねてみる。オレンジの香り。悪くないなとコーネフは思う。

「一番の栄養補給もらいました。閣下。」

といわれてヤンはうーんと困ったような顔をして、それから少し、微笑んだ。



「・・・・・・オレンジを買ってこなくてもよかったかな。」

彼の髪をやさしく撫でて。・・・・・・自分のほうが年下なんだが弟妹がいるせいでどうも長男気質だなと

彼は思う。

「飯つくりますが食べますか。中央指令室に戻られますか。」

食べると、いって。



「ついでにここで昼寝もしていくよ。」



まったく。と笑って呟いたけれど、昼ごはんを食べたら自分もいっしょに昼寝をしようと思う

もう1人の撃墜王殿でありました。



fin

 



あこがれの?ネフヤンってやつですか。どこまでかけるかなぞですが。

とくに危険要素なしということで。この世界ではヤンとフレデリカはただの上官と副官で、

アッテンボローは誰と付き合っているんでしょうね。なぞです。