そう思ってくれていい。
どうしても話があるとまたアッテンボローがいってきた。
私はすごくいやな予感しかしない。
できれば私でなく自分の恋人に言えばいいのにと思うのだがどうも今回もポプランには話せない
というのだ。
ならキャゼルヌでもよさそうなのに。
ポプランなんかは「キャゼルヌの兄さん」「兄貴」などと呼んで親しいじゃないか。
でも彼女は私に聞きたいという。
どうしても質問したいことがあるらしい。何となく怪しい質問のような気はするが。
場所はあのイゼルローン民間区にあるカフェ。
アッテンボローは約束の時間よりも早くきて神妙に私を見上げた。
「すみません。先輩。夜勤明けだったでしょ。この時間でよかったんですか。」
0935時。
私は夜勤があけてもすぐに寝れない性質だから丁度いい。
長い時間は拘束しないというから眠る前にアッテンボローの「質問」は済ませておこう。
彼女は私服だ。
少し趣味が変わったな。よく似合ってる感じはする。こういうのをなんていうのかは知らないけれど
スカートの丈が短くなっていたり。でもその下には細身のジーンズをはいているから女の人らしい
格好だが彼女にはあっている。
やはり恋人がこまめだとこうなるんだろうか。
私は女性が髪形を変えてもわからないといわれているがいわないだけで実はよくみている。
副官が女性だと少しは気をつけないと。
「何が聞きたいんだい。分野は多分夜の生活のことだろう。」
回りくどくいっても仕方がないから単刀直入に私から聞き出した。
「夜だけではありません。」
彼女はまじめなんだろうけれど私はくちにした紅茶を噴出しそうになった。
正直だな。
「でもそういう話だね。」こっくりと頷くアッテンボロー。ああいう仕草も昔はなかったな。結構結構。
「あの。すごく恥ずかしい話で。でも相談するにしてもうちは女ばかりで育っているんで男性の
体の仕組みはよくわからなくて。・・・・・・ちょっと落ち込んでるんです。私って・・・・・・
下手みたいなんです。あれが。」
「・・・・・・そういうのは杞憂だろう。お前との行為をポプランが退屈だと思えばあれは他の女性に
気が移ると思うし。心配は要らないんじゃないかな。」
それに行為の技巧そのものより愛情だろ。アッテンボロー。
それはそうなんですけれどね。とうつむく彼女。「私は自分が男になってわかったんですけど・・・・・・。
普通・・・・・・しぼみますよね。終わったら。」
「・・・・・・そうじゃないんだね。」
「特に・・・・・・・口でするときってあるでしょ。」ぶっ。紅茶を噴出してしまった。
「あいつが強要するのかい。」というと違うという。
「つまり普通の行為じゃなくてオーラルセックスの話だったんだね。」
なぜ私は夜勤明けの午前中に妙齢の女性相手に下の話をしているのだろう・・・・・・。
「口でしたとき、飲むんですけど・・・・・・あいつしぼまないんです。それって私が下手であいつは
満足してないということで・・・・・・じゃないんですか。」
・・・・・・私よりキャゼルヌに聞いてくれ。
「ポプランは満足してないとはいわないだろ。」
「いいません。あれでもフェミニストですし私が傷つくことは言いませんよ。」
助けてくれ。シェーンコップ。
私は自分の携帯に仕方なく入れたナンバーにかけた。
「少佐。お前の提督に私は朝から悩まされてるんだ。例のホテルの隣のカフェにいるから来なさい。
お前のせいじゃないけれどやはりお前のせいだ。」
何かまた文句を言っているけれどこっちから通話を切った。
「先輩、あいつに言っちゃだめです。」
「お前の質問にはポプランしか答えられそうもない。二人で解決しなさい。私は帰って寝る。」
彼女はうつむく。
まいったな。確かに女性からいうには勇気のいることだったと思われる。
「・・・・・・お前。ポプランが本当に好きなんだね。」
私は実はこの2人を結びつける「醜聞(スキャンダル)」を流したことがある。
今までアッテンボローが交際してきた男性は彼女より10歳は年長で次々昇進する
彼女についていけなくて別れにいたっている。今はもう戦死していると聞いたけれど。
男は嫉妬深い生き物だから自分より地位が上の女性を恋人に持ちたがらない。
でもポプランは違った。はなから階級差があれ関係なしだった。
彼女はとても幸せに見えたし今もやはり幸せだろう。
「また男にでもなったのかと思った。」
到着した少佐の第一声はそれだった。
「ハニー。どうしたの。今度は何があったんだ。おれが悪いらしいからごめん。」
そうだ。お前が悪いよ。
ゼツリンという人間がいるとは聞いていたが。まさか目の前にいるとは。
「少佐のものが小さくならないから自分はオーラルセックスが下手だとコンプレックスを持っている。
これはどう考えてもアッテンボローの責任ではなくてお前の責任だ。ちゃんとわかるように説明して
あげなさい。じゃあ私は帰って寝るよ。おやすみ。」
・・・・・・アッテンボローは私の妹分のようなものだし甘えてくれるのはいいけれど。
かえって寝よう。
「・・・・・・そういう話だったのか。」ポプランはまじまじと彼の恋人を見る。
「・・・・・・お前に聞いても満足しているとしかいわないし。私を傷つけるようなことは
いわない気がして。」
お仕置きだな。
「おれ何もうそついてないぞ。いつもエレクトしているのは・・・・・・続きはベッドだな。」
まだ午前中だとアッテンボローがいうと。
「だめ。またおれの言葉を信じてない。続きはベッドでたんと話し合いましょ。」
「だめだってば。お前仕事だろ。」
「なんならスパルタニアンの中でもいいんだぜ。」
「・・・・・・怒ってるの。」
ポプランはにっこりと目の前の恋人に微笑んで言った。
「ううん。お前がほしいくなった。この誘惑上手め。」
誘惑してないよーとアッテンボローは言うけれど。
「・・・・・・不満はないの。」と女性提督は尋ねる。
「そう思ってくれていい。」と男。
彼女は一日ポプランからお小言と愛の言葉とありったけの愛を受けることになる。
fin
ただの与太話でしたな。ははは。
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